2008年05月18日

ミクと恋スル VOC@LOID

 しとしとと雨が降り続く6月のある日。いい加減キーボードを弾き続けるのに飽きてネットに逃げたときのこと。初音ミクの曲を流してネットサーフィンをしていたら、寝転がって漫画を読んでいたミクが寄ってきた。
『キョー君何聴いてるの?』
「ん?よその初音さんの曲」
 今流れているのは「恋スル VOC@LOID」。俺がミクを知った曲で、特にミクのために曲を書いてる時にはたまに聞き返しているのだ。
『いい歌だよねー。こう、ちょっとダメな持ち主にもっと頑張ってほしいような、でもちゃんと歌を作ってくれるのが嬉しいような、何ともいえない気持ちがすごく伝わってくるよねー』
 言いながらこちらを横目でちらちら見ている。ダメな持ち主か……。
「そうだなぁ。純粋というか、素直な思いが伝わってくるよなぁ」
『こんないい歌作ってもらって、幸せだろうなー』
 ちらちらどころかじーっと見つめながら言ってくる。子供のくせにいっちょまえにイヤミなんて覚えやがった。
「幸せだろうなぁ。きっと素直でかわいい子なんだろうなぁ」
『ミクみたいにね』
 思わず振り返ると、勝ち誇ったような顔でにっこーと笑っている。
「そうだなぁ、素直じゃないけど」
 そう言いながら柔らかいほっぺをぷにぷにぐにぐにといじってやると、嫌そうな顔をしながらむーっと唸ってみせた。それでも手を振り払いもせず、逃げる振りをして俺が手を伸ばしやすいような場所にそっと動いたりする辺り、素直なような、素直じゃないような……。
 最後にほっぺたをさすってやると、表情がちょっとゆるむ。その時を見計らって言った。
「まだ1番しか歌詞できてないけど、歌ってみるか?」
『……うんっ!』
 今度こそ、ミクは素直に満面の笑みを浮かべて、頷いた。

posted by alohz at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | [短編]ミクと俺と音楽と | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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