2004年06月18日

証明

 ある日、僕は友人たちと街中を歩いていた。僕の前には友人が1人。僕の後ろにも1人。メインストリートは車の往来が激しすぎて、僕らの間に会話はなかった。
 目の前に柱があり、僕は右を、前の1人は左を通っていった。その姿が、柱に隠れて一瞬見えなくなる。その瞬間、僕は自分が『移動』したように思えた。
 すぐに彼の姿は見えるようになった。また僕に背中を見せながら、歩いていく。車の音以外に聞こえるのは、自分の足音だけだった。あと5歩も歩けば、彼の背中がつい、と遠のいていくような気がした。

「ねぇ」
「ん?なんだよ?」

 車の騒音にかき消されないような大声に、同じ大声が返ってきた。
 僕はまだ『ここ』にいた。

posted by alohz at 02:30| Comment(0) | TrackBack(0) | [短編]日常の風景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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