2008年08月31日

彼女は火照った頬を寄せて淡々と告げる

これまでに幾人か、男の方にお仕えしてまいりました。
貴方様と同じようにここに来られた方ばかりです。どの方にも、この身の全てを捧げました。

冷たく接する方、優しくしてくださる方、それぞれでいらっしゃいました。
その方々と貴方様に、大きな違いはございません。

ですが、私の名前を知るまで触れようとなさらなかったのは貴方様、ただ御一人です。
この身だけでなく、私の過去と現在をすべて晒させたのも、貴方様だけでした。

ええ。それだけで、私はすべてを貴方様に握られたのです。
信じていただくつもりはございません。
今の貴方様には同じことでしょうから。

貴方様もここを出て行かれるのですね。
驚いたりいたしません。ここに二年以上留まっておられた方はいらっしゃいませんでした。
お嬢様は泣かれるかと存じますが。素直でいらっしゃいますし、慣れるということのできない方ですから。

私は――。
寂しゅうございます。
私は本来このお屋敷に仕える身ですから、貴方様のお言葉といえど、ここを出ることはできません。
ですが、貴方様が去られてからの日々を想像することなどできません。
今こうして肌が触れ合っているだけで、これほど満ち足りているのですから。

  もし、貴方様がお帰りになった後も私を望むのであれば、どうぞ攫ってくださいませ。)
(間違っても、貴方様に抵抗することなどできません。)
posted by alohz at 03:48| Comment(0) | 雑念 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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